仕事の効率化とメンタルヘルスの管理 第4回 レバレッジを効かせて施策を効率的に展開するには?

2016/03/23
レバレッジの効果的な活用方法のイメージ画像

業務を効率よくこなし、かつレバレッジを効かせて最大の成果を生むという趣旨でコラムを書きましたが、レバレッジについてもう少し詳細をという声を頂きました。そこで本コラムではレバレッジについて補足したいと思います。

まずレバレッジについて理解する

レバレッジには2つの方向性があります。

 

理想的な環境で出せるベストパフォーマンスを「1」とします。オフィスがうるさい等様々な要因で通常はベストパフォーマンスを出せるものではありませんが、0.30.5しか出せないパフォーマンスを極力「1」に持っていく「効率化」が1つの方向性。もう1つは自分一人ではどうやっても「1」にしかならない成果を10にも100にも引き上げる方向性です。

 

どちらにしろ、この時キモになる考え方は「少しの手間を惜しまない」です。

 

仕事ができる人ほど実はレバレッジを考える習慣がないことがあります。というのも「自分でした方が速い/早い」と考えがちだからです。しかし、そこをぐっとこらえて「人に振る」という一手間を惜しまないのです。人に振る手間と、それによって一見余分に見える必要な時間は「コスト」ではなく、「投資」です。結果的には大きなリターンが返ってくるからです。

自分の能力以上の成果を出す方法

例えば新規に導入するソフトウェアのマニュアルが英語で800ページあったとしましょう。これを自分一人で読んで理解するにはそれ相応の時間がかかるはずです。しかし同僚やメンバーに英語が得意な人がいれば、通読作業をお願いし、1週間後に「要点を教えて」と要約してもらった方がはるかに効率的ですし、浮いた時間でたくさんのことができます。

また、若い人にぜひ覚えて欲しいのが「上司をうまく使う」考えです。

私自身20代の時に経験したのが、社内のメールサーバが停止した事件です。8時間かけてログを調べたり、設定を見直しても分からなかったのが「ちょっと見せてみ」と上司がsendmail.cf30秒ほど眺めただけで「ここ、セミコロンが抜けてるんじゃない?」と指摘し、解決したことがあります。自分よりもはるかに能力のある上司にお願いした方が瞬殺で解決する、上司にうまくお願いすることも大事と知った出来事でした。

若い時から「自分の力以上に成果を出す方法」を考える癖をつけておきましょう。この時、第2回のコラムでも書きましたが「できる/できないの制限は課さない」ことが大事です。

身近な問題の解決策を考えるクセをつける

例えばこういう課題はどうでしょう。

「朝に弱いプログラマーが多いので昼前後にメンバーが集まり、いつもソースコードが上がって来るのが遅い。納期前になると深夜にタクシーで帰るメンバーが多いため想定以上の経費がかかり、赤字になってしまう。どうすれば根本的な解決ができるだろうか」

ここで「朝に強い人になるための習慣を作る」というのはありがちですが、エンジニアに「朝早く出社しろ」と言っても難しいですし、仮に出社できても効率が上がらないため「品質を最大限に、納期は最速で」というレバレッジ的解決にはなっていません。

一旦「自分にできるかどうか」の制限を外すと例えばこんな解決策が出てきます。それは電車を24時間運行にしてもらえばいいのです。終電があるから納期直前になると「いいよ、タクシー使って」となり、経費がかさんでしまうわけです。

JRや私鉄が24時間運行をしてくれると、「何時に出社してくれてもいい。あなたが一番効率よく、ベストパフォーマンスを出せる時間帯に仕事をしてくれればいい」というマネジメントが可能になります。

もちろん現実的には法律の問題などもあり、難しいでしょう。しかし「知恵を絞る」段階では「できる・できない」の制限を外して、できるだけたくさんのアイデアを出すことで現実的に可能で、かつレバレッジの効いた解決策を見出すことが可能になります。

ぜひ若いうちから身近な問題に取り組む習慣をつけてください。

Wag

携帯キャリア、ISPSIerなどを転々と転職してきたエンジニア。現在はゲイトウェイ・コンピュータ株式会社でシステム構築、セキュリティサービス開発、コンサルタントなどを担当。趣味はBORGで鳥の写真を撮ること。

所属:ゲイトウェイ・コンピュータ株式会社

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